さて、待望のKestrelことOpera 9.5最初のアルファ版が公開されましたのでOpera 9.23とどこが違うか比較してみましょうか。何だかリーク情報がちらほらと流れてしまっていたようですが、まぁ使い込まずに書いたところでなんとも物足りないわけでして。念のため申し上げておきますが、たとえ好奇心旺盛でも自己犠牲の精神を持ち合わせて居ない方はOpera 9.5を試してはなりません。何が起こるかわかりませんから。……さて、チェンジログ読みにいくか。
このエントリーは感覚的に気づいたことのみを挙げています。チェンジログを元にしたものではありませんし、ましてや公式なものではありません。ご了承ください。なお、量を必要とする方はOpera 9.5 Alpha 1の更新履歴完全版も併せてご覧ください。
My Operaのアカウントを用いて複数コンピュータにインストールされたOperaの同期を取ることができるようになった。以下のデータの同期を取る事ができる。
こいつを拝むためにはまずメニューから設定する必要がある。
ごにょごにょすると、こんな感じになる。
ブックマークやパーソナルバーの同期が取れるため、どこでも同じニックネームが使える。これが思いのほか重宝するのだ。設定項目は絞りこむこともできる。場所によってスピードダイヤルだけ違うものを使う、というものありだろう。
まぁFirefoxユーザはこの恩恵を既に授かっていたわけですけどね。今のところ同期を取れるのはいわゆるブックマークとその類に限られているようで、設定ファイルなどの同期を取る事はできない。要するに、ニックネームの時代ということですかね。
opera:historysearchというものも用意されているけれど、はっきりいってこんな画面を使う必要はない。インクリメンタル検索すらされないこんなのものはおまけだ。物好きな人が検索の作成機能を使ってsearch.iniに追加する位だ。まるで必要性が感じられないが。
なぜ要らないのか。理由は簡単。その全文検索の結果はアドレスバーの補完候補にも利用されるからだ。以前見たけどそのページを思い出せないので仕方なしにそれっぽい語でもう一度検索する、という事がほとんどなくなる。検索の手間が省ける分早いブラウジングが可能になる。
なお、アドレスバーの補完が強化された件については後述する。
最近のOpera Mobileに導入されていた掴んでスクロールするアレ(何)がデスクトップにも逆輸入。Scroll Is Panにチェックを入れると有効化される。もちろん斜めにも動く。タブレットPCの人は迷わずチェックを入れましょう。ちなみに再起動は不要。
ただ、僕はこれを有効にしながら文字列を選択する方法が今ひとつ掴めない。んー。
メールパネルにもいくつかの変更が加えられている。アイコンによって視覚的に分かり易くなっていたり、Newsfeedsの表記がFeedsになっていたりなどという細かなものから、最下部の送受信状態を通知する領域が非固定的になったという若干大きな変更もある。特にメールパネル最下部に関する変更は使っていた人にとって有用だろう。要らない情報が表示されなくなったためすっきりする。
また、メール受信時のポップアップにフィルタ名(受信箱
や迷惑メール
など)と新着メール件数が表示されるようになった。ポップアップが出たので見てみたらスパムだった、ということはもうない。もっとも個人的にはポップアップによる通知なんて要らないように思うが。
また、地味なところではメールアカウント作成のフローが微妙に変わっている。そう、POP3かIMAPかを最初に選択しなくてよくなったのだ。地味ながらわかりやすくなった。
もちろん既報の通りIMAPエンジンも強化されている。ディレクトリの階層構造を理解するようになったりとか。アクセス状況の表示も刷新されており、よりメールの状態が掴めるようになった。もちろんインデックスが高速になり、メール受信時にフリーズする問題も解消した。Opera Mailの更新についての実益はこれが一番大きいだろう。
コンテキストメニューから他のブラウザで開くことができるようになった。
ここにはインストール済みのブラウザが自動的に検出されリストアップされる。Safariなどには既に搭載されている機能だ。一般的な方法でインストールしたブラウザはきちんとリストアップされることだろう。
位置から察するにパワーユーザ向けという位置付けなのだろう。
OperaのMacっぽさが増している。起動時のスキンもそうだが、使っていれば気づけると思うので以下略。
キーボードショートカットがFirefoxライクに変更されている。Firefoxのそれと違うのはおそらくタブの復元だけだ。それすらも後のスナップショットやベータ版ではFirefoxのショートカットにあわせられた。FirefoxではCtrl+Shift+Tに割り当てられているが、Opera 9.5(Alpha 1)ではCtrl+Alt+Shift+Zになっている。
既存のOperaユーザはEnabled Extended Keyboard Shortcutsにチェックを入れることで慣れ親しんだ1キーショートカットを追加することができる。なお、設定画面での表記はEnable single key shortcuts
となっている。opera:configでsingle keyなどと検索してもヒットしないので注意が必要。……って、こんなことで悩む人は少ないか。
ただし、この設定をしても元々2キー以上のショートカットであったものは復元されない。そう、脳味噌に覚え込ませる日々の始まりだ。
今までできなかったのがおかしい位なのだが、遂にインクリメンタル検索欄でIMEが使えるようになったのだ。さぁ、/を押して、好きなだけ日本語で検索しよう。多くの環境では素晴らしい結果を得ることができる。
……なんてまどろっこしい表現をするからにはある環境下では問題が発生しているということだ。今このエントリーを書くのに使っている、Kubuntu+Anthyではうまく動作していない。日本語は入力されるものの結果は帰ってこない。一つの単語を確定すると続く文字列は確定文字列の前に移動する。どの環境でも完璧、という段階には達していないようだ。まぁ、Linuxですから。
アドレスバーの下に表示される情報が増えた。今まではURLとタイトル、そしてfaviconが表示されるのみだった。Opera 9.5ではそれに加えて以下の情報も表示される。
試しにopeと入力すると、次のような候補が表示される。
時間の情報は案外覚えている……なんてことをどこかの偉い人が本に書いていたが、それを実践することができるようになる。
先ほどopeと入力したのに続いてraと入力すると、候補が絞りこまれてゆく。
その後に半角空白( )を入力すると、補完の対象が履歴の全文検索とその語の検索になる。
もちろん日本語も検索可能だ。未確定文字列も絞り込みの対象となる。異なる漢字やかなの状態で絞り込まれるため、正直一概に良いとはいえないが、なんとなく嬉しい。なお、未確定文字列による絞りこみはバグだったようで、後に修正されている。
また、補完候補に挙げられるその語の検索はきちんとした説明文やアイコンを伴うように変更されたため、初めて使う人にとっても理解しやすいものとなった。
ただしアドレスバー上で全角文字を用いた検索を行う場合には、一度何らかの文字の後ろに半角スペースなどといった空白類文字を入れる必要がある。それによって検索対象を全文検索結果のみに絞りこんだときのみので注意が必要。まぁ慣れればなんのことはない。使っていればわかるが、一つの単語で検索しようと思い立つことはほとんどないのだ。多くの場合、自然と半角空白を入力しているはずだ。もし全角空白を入れてしまうようであれば、これを機に全角空白という概念を抹消するとよい。少なくともATOKにはSpaceキーを押した時常に半角空白を挿入するようにする設定が存在する。おそらくWindows標準のMS-IMEやMac OS標準のことえりにも同様の設定があることだろう。
こんな事に興味を示すような人はおそらくご存知だろうが、検索をより活用したいのであればUse Integrated Searchにチェックを入れるべきだ。これによって、(少なくとも私がいま使っているKubuntuとAnthyの環境では)未確定の平仮名も検索対象になる。
ちなみにこの処理はスペックが低いコンピュータでは少々もっさりする。なんていうんだろう、最初にURLとの一致がまず検索され、結果が表示される。その後にょろにょろと全文検索の結果が挿入されていくのだ。多くの人は見ることがない場面かもしれないとは思うけれど、あまり気分のよいものではないというのが正直なところ。
ちなみに補完候補としてニックネームの前方一致結果も表示される。うろ覚えのニックネームをふとしたきっかけで思い出すことができるかもしれない。
何も言わずにlivedoor Readerを開け、そして使え。正直、Opera 9.23と拡張機能の一切ないFirefox 2でlivedoor Readerを使うとFirefox 2の方がきびきびと動作していた。が、それを羨む日々とはもうお別れだ。Opera 9.5は、速い。livedoor Readerを使っていない人はGoogle辺りの重たそうなアプリケーションを使ってみれば実感できるかもしれない。
ちなみにいくつかのバグも修正されている。最近の話題であれば、amachangをがっかりさせた(?)
しまうバグなんかは修正されています。shift.apply(arguments)
に失敗して、arguments
を壊して
その他getter
やsetter
が使えるようになるとか、まぁその辺りは既に公開されているとおり。
CSS 3の一部が実装されている。特に便利に感じられるのはtext-shadow
のサポートとセレクタのサポートだろうか。
ちなみにOpera 9.5はtext-shadow
プロパティを継承しない。これはKHTMLエンジンのKonquerorやSafariとは異なる表示結果となるが、忠実にCSS 2の仕様どおりレンダリングした結果だ。この仕様は実に奇妙であるため、将来的に変更される可能性もあるように思う。しかし、今のところはOpera 9.5の実装が正しい。実際のところCSS 3にて継承するように変更される予定だそうだ。
なお、その後のビルドにてKHTMLなどの実装しているCSS 3に沿った実装へ変更された。
サイト別設定のウィンドウが整理され、いくつか設定可能な箇所が追加された。追加された項目は以下の通り。
ファイルをダウンロードする際に表示されるダイアログに起動するアプリケーションの選択メニューが統合された。うまい具合に候補が挙げられ、その場で簡単に実行プログラムを変更できる。
Opera 9.23ではこのようなダイアログが開いた。
それが、Opera 9.5ではこうなる。
それほど重要でないファイルサイズは目立たなくなり、起動ソフトは関連のありそうなソフトウェアをプルダウンメニューから選択するだけだ。今まではファイルを開くソフトウェアを選択するためだけに関連付けに用いるリッチ過ぎなダイアログを利用していた。
このダイアログを見る頻度は随分と下がるだろう。確かに、Operaが検出してくれないソフトウェアでファイルを開きたいという要求に答えるのには難しくなったかもしれないが、今までのダイアログが消し去られたわけではないので、できないわけではない……とお茶を濁す。言ってしまえば、初心者優先なのだ。
画像のプロパティに概要としてalt
属性値が表示されるようになっている。
既報の通り情報パネルが強化されている。もはや一般向けではない。表示される内容はおそらく以下の通り。もしかするとまだ抜けがあるかもしれない。というのも、ページによって表示される内容が絞りこまれるため、全てを把握するのは困難なのだ。
meta
要素のname
属性値とcontent
属性値の一覧link
要素やa
要素のrel
属性値とhref
属性値を元にしたリンクtitle
属性が存在する場合はrel
属性値と併せて併記されるrel
属性値が同じものをまとめてくれるわけではないrel
属性値をそれっぽく並べた後ろに未知のrel
属性値をアルファベット順に並べて表示しているlink
要素やxml-stylesheet
命令で呼び出されるスタイルシートへのリンクinclude
によって読み込まれるスタイルシートも一覧表示されるscript
要素によって読み込まれるファイルへのリンクiframe
によって読み込まれるファイルへのリンクframe
によって読み込まれるファイルへのリンクこれだけ表示量が増えたため、情報パネルの表示には少々時間を要するようになった。残念といえば残念だが、致し方ない。
Opera 9.23までの滑らかなスクロール機能はなんとももっさりした感じが拭えないものだったが、Opera 9.5のそれは素早く加速するためあまり気にならない。元々意図せずしてSpaceキーなどを押してしまった人を救出するなどといった側面で滑らかなスクロールは悪くない機能だと思っているだけに、これがあまり邪魔に感じなくなったのは嬉しい。
一部の人を悩ませていた妥当なXMLをパースエラーと扱うバグも修正された模様。今のところ忌まわしきパースエラーには遭遇していない。
nullpageさんが不思議がっていた件も無事解決。Opera 9.5では巻き戻しでスピードダイヤルに戻る事ができる。
その他にも変更点は存在する。いくつか挙げておこう。