Operaの良いところ

今回は他に無いOperaの特徴を6つ見てゆこうと思う。Operaについて詳しく知らない人がこれを読みOperaに興味を持ってくれれば嬉しい。世間ではFirefox全盛期だけれど、人によっては他のどんなブラウザよりOperaの方が魅力的なのだ。

WindowsにはWindowsの、MacにはMacの習慣がある。それと同様、FirefoxとOpera(ここではあまり取り上げないがその他の環境)にもそれぞれの習慣がある。ここではそういったOperaの習慣についても取り上げる。これによってよりOperaをOperaらしく使うことができるようになるかもしれない。

特にOperaらしさの観点からはmanateeさんが具体例を幾つか紹介してくれたので興味がある方はそちらも参照するとよいだろう。

Firefoxの事

さて、まず明らかな事実(と私が思っている事)を書いておく。

Firefoxは拡張機能によって機能を追加する事ができる。ソースコードを書き換えれば、なんでもできる。

Firefoxは世界中の素晴らしいオープンソース開発者がともに作り上げている。開発者の情報交換は広く深い。知識の多くは公開され、共有されている。

Firefoxの利用者数は増えてきている。情報も増え続けるだろう。それに伴ってコミュニティはさらに素敵なものへと成長する。

Operaのコミュニティも、悪くはない。だが、どうしても情報に限界がある。ユーザの絶対数が少なく、ソースを漁ろうにもそんなことは認められていないのだから。

Operaを選択する能動的な理由

ではどこにOperaを選択する能動的な理由が存在するのか。僕はこの辺りだと思う。

話をFirefoxとOperaに絞るのであれば、この辺も選択理由になるように思う。

これ以降で各々について詳しく見てゆく。

軽い

この項で挙げている内容は誤りであるかもしれません。私がこのエントリーを書く際原因をメモリ利用量に求めた理由は、利用経験からの推論に過ぎません。メモリに理由を求めたのは私の利用環境が決してメモリに余裕がある環境とは言い難いものであり、演算速度に関しては十分だろうという思い込みを持ち、それに加え見覚えのある資料による先入観が加わったために過ぎず、テストを行った結果に基づくものではありません

なお、50ページ以上開く自分のユースケースとして、検索結果画面などから思いつくページをひたすらバックグラウンドに開いてゆく、といった状況があります。

体感的、主観的に軽いと感じているのは事実としてありますので、後日自分の環境でもテストを行う予定です。

これはレンダリング速度の話ではなく、メモリ消費量の話だ。IEコンポーネント系と比較するとレンダリング速度も品質も圧倒的優位だが、まぁそれは置いておこう。

かつてはレンダリング速度で大きく優位に立っていた時期もあった。だが、今はほとんど変わらない。特にメモリキャッシュの扱いによる、戻る際の遷移速度には大きな差があった。しかし、スペックさえあればFirefox 2も十分早い。Firefox 3に至ってはOperaと変わらぬ速度を実現してくれる。

だが、ここで話題とするのはメモリ消費量だ。ここにはOperaとMozilla系プロダクトの思想の違いが存在する。各々の関係者の言葉を引用しておこう。もっと良い資料を見た記憶があるのだが、すぐに出てこなかったのでこの辺りで許してもらいたい。なお、引用中の強調は筆者による。

ここで注意したいのは、Mozilla系のプロダクトはある一貫したポリシーを持っている(と思われる)ことだ。メモリを犠牲にして、速度向上に努めるのが基本方針のようである。(誰の意志が色濃く反映されているか分からないので偶然かもしれないが、)例えば、Windows版で、ウインドウを最小化してもメモリを解放しなくなったのは、ウインドウ復元時にパフォーマンス低下の苦情が多かったことへの対応なので、この方針に一致している。

性能というよりも根幹となるビジョンの話になるのですが、開発当初から近い将来PCだけではなく色々な機器にインターネットを利用するための通信機能が搭載される時代がくるだろう、ということを思い描いていたようです。そこで『Opera』が他と差別化すべく続けてきた点はプログラムのスリム化とスピード化です。

ここに並べた2つの引用は、そもそものレイヤーが異なることを念のため明記しておく。Opera for Desktopはある程度デスクトップの高性能環境を意識したチューニングがなされているだろうし、Geckoエンジンも十分スリム化に勤めているだろうことは想像に難くない。

だが、省メモリ環境下でさくさく動くのはOperaだと感じている。具体例を挙げるのは簡単だ。手元のFirefoxで50個位のタブを開いてみればすぐに分かる。余程メモリに余裕がある環境でない限り使う気にならない速度になってしまうだろう。Operaは50個程度のタブではびくともしない。

鵜呑みにするべきでは無いが、一つの参考資料として昨年末にFirefox 2とOpera 9.1のCPU負荷とメモリ使用量を調べた方が居たので紹介しておく。記事の最後に考慮すべきと点が2つ提示されているが、それを鑑みても十分な差であるように思う。

多数のタブを開いた際の動作についての例を提示していた箇所を削除した。その理由および原因について書き留めておく。

私が実際に先月くらいに削除部の印象を強く抱いた省メモリ(が強いられる)環境は既に手元に無く、テストを行うことはできない。実メモリ512Mに対し相当数の常駐ソフト、またメモリ食いのソフトが起動しており、ブラウザの起動が完了した段階での物理メモリ空き容量が既に十数Mだったように思う。省メモリ環境でとした理由はただこれだけである。この環境(具体化できない)でバックグラウンドに数十のタブを開いた状態ではフォアグラウンドで開いているタブでの操作(スクロールやページ移動)が使う気にならない速度になってしまったのを覚えている。原因が本当にメモリであるかは定かでない。単純に処理速度が足りなかっただけなのかもしれない。

だが、これを感じたFirefoxにはいくらかの拡張機能が入っていた。なんらかの拡張機能が影響していた可能性は高いように思う。手元の環境(PenM1.2G/RAM256M/WinXP)に新規ユーザを作成し拡張されていないFirefoxを立ち上げた所、50個程度のタブではびくともしなかったのだから。

Operaが50個程度のタブでびくともしないのは事実だと思う。私なんかは50個で少ない方だと思ってしまうくらいなのだ。

たいして手元のFirefoxで50個のタブを開いたときにきちんと使えるか否かは手元のFirefox次第、というのが実際の所なのかもしれない。

実際の活用例

タブを大量に開いておけるため、Operaユーザの中にはしばしばこのような人がいる。

このような使い方はOperaでしかできない。少なくともFirefoxでは難しい。言い方を変えるならば、Operaユーザはいつでもあとで読むことができる。そしてその使い方は実にOperaらしい。

Operaが用意する後で読むための手段は他にもある。いわば、もっとあとで読むといったところだろうか。セッションとして保存しておくという方法がまず思い浮かぶだろう。しかし、ブックマークのフォルダにまとめておくという方法もある。Operaのブックマークフォルダにはニックネームが付けられるため、あたかも一つのページを開くのと同じ感覚一気に開く事ができるのだ。

中にはどうせ全てのタブを表示させることはできないのだからと、タブバーを消してしまう人もいる。それは私だ。事の顛末はタブバーを消してみたら案外良い感じだったを参照していただきたい。当該エントリー中では特にタブの表示量に付いて触れていないが、理由の一つとして存在していた事をここに付け加えておく。

統一感

Operaは拡張をサポートしない。それによって統一感を持ったインタフェースを提供することができる状態にある。ほぼ全ての機能は連携可能だ。

全てが入った状態でショートカットを定義することができるためほとんどの機能にはキーボードショートカットが割り当てられており、それらに矛盾は無い。Linux環境下であればEmacsライクなキーバインドを実現するための設定ファイルも付属してくる。全部入りだからこそできることだ。

メニューバーのツールから外観の設定を開き、ツールバータブを見てほしい。ここで全てのバーの配置を変更することができる。適当なバーを実際にクリックし選択、その後配置のプルダウンメニューを利用して上下左右に配置する。どれも同じなのだ。ほぼ全てのものを移動させることができ、全ての場所にいかなるボタンをも配置することができる。

それを実際に活用して様々な初期状態を実現したiniファイルをOpera社のRijkが配布している。このページで配布されるiniファイルはクリックするだけで適応させることができる。Operaのカスタマイズに精通していなくても利用できるので安心してほしい。

必要な機能が揃っている

Operaは特殊な機能を持たない。例えばiTuneなどといった他のソフトウェアと連携させたりといったことは(コマンドラインで叩けるのなら別だが)基本的にできない。外からOperaの機能を利用することもできない。

だが、ブラウジングに必要な機能はほぼ全て揃う。インストールするだけで十分だ。

もちろんカスタマイズしなくても良い、という利点はある。しかしそれ以上に着目すべきは外出時にそのまま使える、という点だ。そういう状況下では管理者権限が無いのが普通だろうから、Portable Operaを入れる事となる。これなら管理者権限不要だ。自分の環境を入れて持ち歩く必要は無い。もともとカスタマイズなんて必要ないんだから。

標準状態で使いにくいFirefoxの場合、そうは行かない。自分の環境をメモリに入れて持ち歩くことはできる。だが、日々カスタマイズされた状態を持ち歩かねば結局戸惑うこととなる。

もちろんOperaも多少はカスタマイズして使うことになるだろう。だが、概ね標準状態で事足りる。そして、その状態を保つべきだ。Operaをメインブラウザとしていない人でも、Operaでそこそこ満足いくブラウジングができるようになっておいて損は無い

大丈夫、概ね今使っている操作性とたいして変わらないはずだから。便利なキーボードショートカットをいくつか覚えればそれで十分。いざというときに使おうと思い立つには、一度使っておいた方が良い。ただそれだけのレベルだから。

OperaにはGoogle Browser Syncのようにブックマークや履歴を同期する手段は無い。でも、そんなものを同期する暇があるならさっさと検索エンジンに調べてもらった方が早い。必要ならばウェブサービスを普段から使えば良い。

重要視すべきは時間短縮。本当にそれ全てを同期することが、今、必要?

MDIによるブラウジング

残念ながらMac版Operaではこの恩恵を受けることはできないのだが、WindowsやLinuxでOperaを使えるのであれば是非試してほしいのがMDIによるブラウジングだ。

Operaが自身をタブブラウザと呼ぶようになったのは最近の事だ。今のOperaを見てもMDIとは感じにくいだろう。意図的にそれを裏に隠しているから。

MDI化の第一歩はメニューバーにウィンドウメニューを表示させることだ。メニューバーのツールから設定を開き、詳細設定タブのブラウジングを選択し、ウィンドウメニューを表示するにチェックを入れよう。面倒な人はopera:config#UserPrefs|ShowWindowMenuを開いてチェックを入れれば良い。

完全なMDIへOperaを変貌させるためには、同詳細設定タブのタブを選択し、タブに「閉じる」ボタンを表示のチェックを外す。面倒な人はopera:config#UserPrefs|ShowCloseButtonsのチェックを外せば良い。これで見慣れたMDIに変貌する。

最近FirefoxにもSplit Browserという拡張機能が作成され、MDIのような使い方ができるようになった。これはこれで面白い。

実際の活用例

後は煮るなり焼くなりしてほしい。が、それでは途方に暮れる方も居るだろうから幾つか利用例とその方法を挙げておく。初期状態ではメニューとキーボードショートカット以外割り振られていないが、もちろんマウスジェスチャに割り当てることもできる。どれも同じだから。

ちなみにパネル(Firefoxでいうサイドバー)もウィンドウ(タブ)の一つとして扱う事ができる。メニューバーのツールから外観の設定を選択し、パネルタブのパネルの位置のプルダウンメニューから浮動表示を選べば良い。これは何気に便利でおすすめである。

Operaのパネルについて少しだけ。パネルにはブックマークした任意のページを表示させることができ、必要に応じてSSRでレンダリングできる。プロパティ画面から簡単に設定できるため、活用範囲は広い。

さらなる情報

さて、最後にMDI活用のためのヒント。設定したであろう「タブに『閉じる』ボタンを表示」のチェックボックスの上にあるタブをクリックすると最小化タブなしウィンドウを許可するの設定は好みにあわせ、使いかたにあわせて設定すべきだ。ちなみに私はというと、ともにチェックを入れた状態で使っている。

基本的にOperaは終了させない。特にメモリを食わないのだから。とりあえず起動して常駐。必要なときに前面へ呼出し、必要ないときは最小化ないし、Ctrl+hで通知領域へOperaを隠す。これがOpera流だと僕は思う。だからこそタブなしウィンドウを欲するのだ。

また、より興味を抱いた人が居れば齋藤さんのMDI で行こうもあわせて参照すると良い。

拡張できないことによるセキュアな状態の保証

拡張機能の大半はセキュアだが、外部で配布される拡張機能をインストールする際に提示されるメッセージの通り、それは保証されない。こんなことを言い始めるときりがないと言えばきりがないのだが、拡張性の無いOperaはFirefoxに比べて安全だろうと思う。(ただしOperaもUser JavaScriptを利用する場合はその限りでない。)

コアな部分のセキュリティに関しては特に述べない。Secuniaなどの結果を用いて現状を提示しても良いけれど、そんなものは逐一変化するものだ。

一度覚えれば拡張機能を探すよりこなれているini編集

Firefoxはある動作に対して操作を割り当てる。これは拡張機能によって増え続ける機能に対応するために必然といえる手順だ。それに対してOperaのini編集はある操作に対して動作を割り当てる。そこさえ分かれば後は勘で編集できる。

というのはさすがに乱暴なのでもう少し補足しておく。

私信

こんなことを書くとOpera信者とかいうヨクワカラナイ人たちの袋叩きに遭いそうで若干恐いですが、書きましょう。lomoさんはメインブラウザをOperaに変えることを考えない方が良い。あくまでもサブブラウザとして見た方が良いでしょう。もしくは、使いわけ。開発環境としてのFirefoxは間違いなく最強なのですし。

逆に言えば多少遅くても重くても、たまに落ちたり、プロファイル入れ直しを迫られようとも、今の環境のためにはそれらのリスクや不便さをガマンできるってことかもしれません。

今の環境に固執するのであれば、今の環境が良いという所に落ち着くでしょう。全部実現できていて、不満もないのです。立ち入る隙なんて、無い。

というわけで、機能移植については他の人のエントリーを参照してくださいまし。概ね移植できるという結果が得られるかと思います。しかし速度を重視していないとなると、いずれFirefoxに戻るかと思う次第です。

したい事が現状で既に出来ているから乗り換えは不要、という意見はもっともらしいが一面で真実ではない。以前てらじが書いていたように思うが、Ctrl+B が Paste and Go なのを教わっても、それを便利とも思わずペーストして Go ボタンを押すのに何の迷いもない人に Opera を勧めても無駄だと彼は書いていた。スピードダイヤルは便利だよと言っても、私は使わないからという人には同じく無駄だ。MDI は便利だよと何度言っても、タブを切り替えれば済むとしか思えない人には意味がない。

ここのタイトルに掲げた発想が云々というのは、そういう事だ。こうしたら便利だよという提案に、どれだけ柔軟に対応出来るかは、人によって違うだろう。

サブブラウザとして使ってみたり、使い分けしてみてほしい、と書いたり理由。それはこういったちょっと違う部分を感じとって欲しいということに尽きます。こういった機能にただ使っている人は気づけない。使いこもうと思ったときがチャンスなのです。

この文書の諸情報

この文書の永続的URI
http://kuruman.org/diary/2007/05/01/opera-originarity
公開日時
2007年5月1日 午前1時57分28秒
最終更新日時
2007年5月4日 午前3時47分27秒
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