僕がOperaに落ち着く理由

綾川版Firefoxに乗り換えたのが先月4日、Gran Paradisoにしたのが今月の2日。一月半ほど、まじめにFirefox生活を送っていたことになる。が、結局Operaの方が自分には合っていると思うに至った。折角なので感じたことを全て書き留めておこうと思ったのだが、結局3大Webブラウザとユーザの関係の焼き直しのようになってしまった。つまりはそういうことなのだろう。

手間をかけることに労を惜しまない人はFirefoxを使えばよいと思う。むやみやたらと拡張を入れない限り十分な早さで動いてくれるし、やろうと思えば何でもできる。探せばドキュメントは多く存在するし、ドキュメントを見つけるのも比較的容易だ。

しかしながら、裏を返せば何をやるにも面倒、とも言える。ふとした思いつきでメニューやショートカットを増やしたい衝動に駆られたとき、すらすらとスクリプトを書けない私は、探すか諦めるかの二択を迫られる。Operaであれば出来るか出来ないかの二択。出来るならちょっとiniファイルに書き足すだけだし、出来ないなら諦めるだけ。決断にもそう時間は要しない。

もちろんFirefoxのカスタマイズの基本は拡張機能を探すことだ。多くの場合、探すことでカスタマイズは完了する。しかし、その拡張とは他の人が作ったものであり、どうしても型にはめられることとなる。そして時に拡張機能では満足できないことがあるのも事実だ。僕が嵌まった具体的な箇所はさらばOperaよろしくFirefoxで挙げたとおり。幸運にも僕は素晴らしい助言を得ることができたため、満足いくカスタマイズを行うことができた。が、仮に自分一人であったならば、おそらく無理だっただろう。やろうと思えばできてしまうが為に悶々と悩まねばならない。諦めが悪いからこそ、無理と判断できる何かを求めてしまうのかもしれない。

特にこれを顕著に感じるのがキーボードショートカット。Firefoxへ乗り換えるときも随分悩んだが、これを自在に設定できるOperaの手軽さの虜になっているとも言えるような気がした。

なんだかんだで僕が一番長期間利用しているブラウザはOperaだ。どうしてもOperaだったら出来たのにな、と考えてしまうことが多い。もちろんFirefoxでも拡張機能を入れたりすれば出来る。だが、探すのが面倒だ。結局はそこに行き着いてしまう。

Firefoxはほぼなんでもできる。だが、それはスクリプトを書ける人にとっての話だ。書けない人にとってかゆいところに手が届くのはOperaのように思う。少なくとも僕はそう感じた。iniファイルでやりたいことは概ね事足りてしまうのだから。

Firefoxへ移行しようと思い立たせたきっかけがOperaのXMLパーサのバグであったように、Operaへ戻ろうと思い立たせたきっかけは謎のアラート。綾川版に戻るという選択肢もあるのだけれど、次はスピードダイヤルで遊ぼうかな、と。もっとものりさん曰く、今のビルドではこの謎のダイアログが発生するバグは再現しなくなっているとのことで、alpha4 では直ってると思われとのことだが。

先日手元のコンピュータのひとつをLinuxデスクトップにしてみた。新規構築時に何を入れたくなったか、と言えばOperaだ。確かにFirefoxのカスタマイズ方法はメモした。しかし、時間を費してFirefoxをカスタムするくらいならOperaで良いかな、と思うに至ったのだ。僕はOperaに十分過ぎるほど満足している。逆も然りだろうと推測される。FirefoxやOperaを既に使っている人は、その環境に満足しているのだ。

OperaとFirefoxには確かに微妙な挙動の違いがある。それが味になっているといえるだろう。その味が、さらに慣れた環境を捨てることを難しくしている。そう思い知らされた。

最後に。今回1ヶ月半使って、Firefoxいいなぁ、と思った。好感度は確実にあがった。好感度が何を指すのか、なぜそう思ったのかは、さっぱりわからないけれど。好感度の源がはっきりしたらまたエントリーとして公開しようと思う。

もしかするとオープンソース特有の(と言ったら語弊があるかもしれないが)ユーザコミュニティを肌に感じたからかもしれない。いろいろな人が助言をしてくれる。中にはわざわざメールで教えてくださった方も居た。その空気がたまらなく心地よかったのかもしれない。

もし他のブラウザを試してみようと思うなら

他のブラウザを試すのであれば、本気で取り組まねばなんの意味もない。はっきり言っておこう。乗り換え対象として名前があがるようなブラウザが実現していることはどれもたいして変わらない。ではなぜ一つのブラウザを使いつづけることになるのか。それは、初めて触れたからとか、初めて本気で使い込もうと思ったとか、そういった理由だろう。

他のブラウザを試し、満足感を得るためには、既存の良く知った環境を短期間で越えなければならない。だからこそ本気である必要がある。何らかの強い不満を抱いていない限り、既に十分満足している元の環境へ戻ってしまうのだ。もしかすると、戻れるという安心感すら問題なのかもしれない。

ウェブブラウザはどれもある程度成熟している。乗り換え対象として挙げられるようなものはどれも似たような機能を持っている。必要とされる機能の大半は実現できる。そんな中で積極的な理由を見出すのは難しいのだ。

少なくとも僕には難しかった。既にOperaのおいしい部分を存分に知ってしまっている。そんな状態で、時間を費してまでFirefoxのそれを会得する利点はなかなか感じられるものではなかった。Operaいいです、という感じだろうか。

本気で取り組まなかったことで先入観を持ってしまう可能性がある。誤った判断ほどもったいないことはない。将来的な機会を失ってしまうことにもなるのだから。だからこそ、やるならば本気で取り組んでほしい。そういう意味でわたしは今回良いきっかけに恵まれたと思う。Operaに戻りたくないというはっきりとした理由があったのだから。

雑感

よく言われていることばかり並んでいる気もする。

Ctrl+Alt+Zctrl+Shift+T

閉じたタブを開く機能のショートカットキーはFirefoxの方が押しやすいと感じた。Operaはタブを元に戻すことに着眼してCtrl+Zをベースにしたのだろう。対してFirefoxはタブを開くことに着眼してCtrl+Tをベースとしているように思う。意味的にはOperaのそれが私にはしっくり来る。しかしMacの⌘+Altは押しやすいが、WindowsやLinuxで使うこととなるCtrl+Altは離れていて押しにくいのだ。まぁあくまでも私の場合、なのだけれど。

タブを一気に開いたときの挙動

全文を配信しないフィードが私の周りには多数存在しているため、LDRのピン機能をよく使う。つまり後から一気にタブを開くこととなるのだが、そのときの動作が機敏なのはOperaであるように感じる。ページのレンダリングはほぼ同じ体感速度だが、複数タブを同時に読み込んだ時の挙動はまだOperaに分があるようだ。

文字列選択

キャレットブラウジングがあるという点ではFirefoxのキーボードブラウジング環境は優れていると言える。しかしながら、CSS生成内容を選択できないのは厳しい。

ユーザスタイルシート環境

Stylishは本当にうらやましい。あれは便利すぎる。

開発環境として

開発環境としてはFirefoxの方が圧倒的に優れているといえる。Firebugは実に便利だし、JavaScriptの実装はFirefoxの方が早い。実装速度に関しては歴史的経緯が若干あるのかもしれないが、新しい機能が使えるのはやはり便利だ。

コメントに対する回答

JavaScriptを書くときにはFirebugが使えるようになった頃からFirefoxを使っています。FirebugはOperaにない優れた開発環境を実現してくれますから。そういった意味ではわたしもFirefoxとOperaとの二股生活を送っている、と言えるのかもしれません。

おまけ

一躍時の人となった彼の演説を用いたネタを載せておく。あまりに脈絡が無いので捨てるつもりだったのだけれど、せっかくなのでおまけとして。

ブラウザにこだわりを持つ諸君!私がOperaである!
諸君!他のブラウザは最悪だ!
拡張機能だとかプラグインだとか、
私はそんなことには一切興味がない!

あれこれ機能を追加してみんなが幸せになれるような、
もはやそんな甘っちょろい段階にはない!
そんな機能はもう見捨てるしかないんだ、
そんな機能はもう滅ぼせ!

私には、建設的な提案なんか一つもない!
今はただ、スクラップ&スクラップ、全てをぶち壊すことだ!

諸君!私は諸君を軽蔑している!
この下らない機能を!そのシステムを!
支えてきたのは諸君に他ならないからだ!
正確に言えば、諸君の中の多数派は、私の敵だ!

私は、諸君の中の少数派に呼びかけている!
少数派の諸君!今こそ団結し、立ち上がらなければならない!
奴ら多数派はやりたい放題だ!
我々少数派が、いよいよもって生存しにくい
世の中が作られようとしている!

少数派の諸君!ブラウザの乗り換えで何かが変わると思ったら大間違いだ!
所詮ブラウザ選択なんか、運命の出会いに過ぎない!
我々少数派にとって乗り換えほど馬鹿馬鹿しいものはない!
普通に使っていれば、手に馴染んだブラウザが良いに決まってるじゃないか! 

じゃあどうしてブラウザを乗り換えたりしたのか?
その話は、長くなるから、昔のエントリーを見てくれ!
エントリーは二種類あるから、どちらも見逃さないように!

私は、はてブホッテントリの、ブラウザ自慢にもう我慢ならない!
少数派の諸君!利用者を説得することなど出来ない!
奴ら利用者は、我々使われていないブラウザに耳を傾けることはない!
既得権が支配する、こんな下らないブラウザの乗り換えは、
もはや滅ぼす以外にない!

乗り換えなんかいくらやったって無駄だ!
今進められている様々な乗り換えは、
どうせ全部全て奴ら利用者の確認に過ぎないじゃないか!
我々少数派は、そんなものに期待しないし、勿論喜びもしない!

我々利用者はもう他のブラウザに何も望まない!
我々利用者に残された選択肢はただ一つ!
他のブラウザを滅ぼすことだ!
ぶっちゃけて言えば、もはやウェブの消滅しかない!
		    
ブラウザにこだわりを持つ諸君!これを機会に、
手持ちのブラウザ削除の恐ろしい陰謀を、共に進めていこうではないか!
キーボードに、Deleteキーがあるから、
今すぐでも、読み終わってからでもかまわない!
とりあえず手持ちのブラウザを消してみてくれ!
勿論、乗り換える気の無いそこの君や、
ブラウザなんて動けば良いと思っている君でもかまわない!
我々利用者には、シェアなんか元々全然関係ないんだから!

最後に、一応言っておく!
きみが乗り換えたら、
奴らはビビる!!
私もビビる!!

Operaに悪意の一票を、
Firefoxにやけっぱちの一票を!
じゃなきゃブラウザ乗り換えなんてするな、
どうせ乗り換えなんて成功しないんだよ!!

この文書の諸情報

この文書の永続的URI
http://kuruman.org/diary/2007/04/26/back-to-opera
公開日時
2007年4月26日 午前2時29分16秒
最終更新日時
2007年4月27日 午前2時09分52秒
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