すてきなサムネイルや即時の検索他いろいろ
金曜日です。例によって新しいビルドが公開されました。新機能に関してはashizukaさんが画像を用いてわかりやすく解説していますのでそちらを参照すると良いかと思います。
以下Operaの開発者であるAlexey FeldgendlerがOperaのDesktop Team Blogへ10月12日に投稿したNeat thumbnails, instant searching and moreを邦訳したものです。このエントリーには誤訳が含まれる可能性があります。必要に応じて原典を参照し、誤訳を発見されたかたは是非ご連絡ください。なお、この訳文にはある程度の意訳を含んでおります。
Здравствуйте, дорогие пользователи! ユーザの皆さんこんにちは!
ここを見てくれているあなたへ、たくさんのバグを修正し、クールな要素を追加した金曜日のビルドを贈ります。このエントリーの下部にある既知の問題の項を確認の上、問題点をご報告ください。スナップショットを公開する度に既知の問題に記載されているものと同じバグレポートをたくさん頂きます。このようなレポートを処理する時間を QA チームが費やさなくて済むようご協力をお願いいたします。
サムネイルでの要素配置幅検出
ある閲覧者は1600×1200のスクリーンを利用しているでしょう。人によってはそれを2枚使っている場合もあります。それと時を同じくして、モバイルデバイスの320×240のスクリーンでウェブブラウジングしている閲覧者もいるのです。しかし、そのような2007年においても、多くのウェブデザイナーは未だに「一般的なユーザ」が800もしくは1024ピクセル幅のスクリーンを利用していると仮定しています。一方、動的に幅を伸縮させることで利用可能な縦の空間を有効に活用しているウェブサイトも多くあります。
タブにマウスを重ねるとページのサムネイルが表示されます。Operaはウィンドウがどんなに大きくとも、左側の1024ピクセルに表示される内容をサムネイルの生成に利用してきました。これが多くの有名な新聞社のサイトなどにおいて無難だったのです。しかしウィンドウ幅全体を使いつつセンタリングを併用している、Googleのメインページやそのほかのページにおいて、この方法は問題を生じていました。幅広のスクリーンを利用していればいるほど、サムネイルが右側を断っていることを確認しやすいでしょう。これは固定幅のレイアウトを行いかつ、左より中央へ内容を集めているウェブサイトでも問題を生じていました。しかし、たとえば1024ピクセルなどといった、ウィンドウ幅全体をサムネイルへ表示することもまた、選択することはできません。固定幅レイアウトのページのサムネイルの右側に多くの空白を残してしまい、縮小された画像はより小さく見苦しいものになってしまうのですから。
このビルドには、可変幅レイアウトを破壊することなく固定幅レイアウトのページに対応する試験的な機能を搭載しています。新しいlayout width detection(補註: 訳すとすれば要素配置幅の検出といったところだろうか)では発見的にページレイアウトを照合し、固定幅レイアウトが行われているかどうか検出します。このアルゴリズムではまず、文字列や画像、プラグイン、入力フィールド、空白ではない背景などといった意味ある全ての内容によって生じる横幅を測ります。そして800や1024などといった一般的なウィンドウ幅およびその許容誤差範囲の値と比較します。それによって左寄せの配置と中央寄せの配置双方を処理することができます。
サムネイルを生成する際、まずはじめに固定幅レイアウトの検出を試みます。固定幅レイアウトが検出されたならば、サムネイルは意味ある内容の表示に利用されている幅を基に生成されます。検出されない場合はウィンドウ全体の縮小表示が利用されます。これによってタブの上で表示されるサムネイルの横に役立たないスペースを見ることはなくなるでしょう。しかし余白のないページでは裁ち落とされることなく全体が表示されます。この機能は実際のところ当て推量によるものですから誤った結果に基づいて表示してしまうこともあります。しかしながらそれほど頻繁に失敗することはないはずです。どうか全ての種類のページや設定でお試しの上壊れてしまう症例をご報告くださいますようお願いいたします。
差し当たりlayout width detectionはサムネイルにのみ利用しています。しかし将来、この機能を何か他のものへ利用したいと考えています。
その他の新しい事柄
- 新しい「論理的検索」のコードを搭載しました――これによってとても長いページでも瞬時にインライン検索の結果を得ることができます
- (補註: インライン検索が描画結果の影響を受けなくなったため、日本語によるインライン検索時にも検索語が漏れなくヒットするようになっています。この効果については過不足どちらがましかにてわかりにくく解説していますので興味があればどうぞ)
- フィードのツールバーへ更新を確認するためのボタンを新たに追加しました
- 「Make Readable」というアクションを追加しました。これはメニューやツールバー、キーボードショートカットに限らず、任意に割り当てることもできます。文字サイズが小さく読みにくい箇所を選択した上でこのアクションを実行すると、その文字を読むことができるようにページを自動的に拡大します
- SVGの
pointer-events="boundingBox"
へ対応しました
- CSSの背景画像へ指定するのと同様に、SVG画像を
IMG
要素へ指定することができるようになりました
- (補註: 今までのビルドを使ってこられた方はしばしばSVG画像の埋め込まれたページでの異常終了を経験しているかと思いますが、このビルドではその問題が修正されています)
- JSの
Date.getX
メソッドのパフォーマンスが向上しました
修正したバグ
- opera:historysearch(補註: Kestrelにて追加された履歴の全文検索機能をそれだけで利用するためのページ)にてスクリプトを動作させた際に生じていた問題を修正しました。この問題を報告くださったBavid Bollmに感謝いたします
- 両端揃えの文字列中に含まれるインライン要素の表示を修正しました
- 背景色が要素のボーダー領域まで影響していた問題を修正しました
- XML中の
contenteditable
で異常終了する問題を修正しました
1px blur radius
と指定されたtext-shadow
もいくらかぼかして表示するようになりました
- ウィジェットにおいて、zip書庫のサブディレクトリに格納されたファイルが無効となっていた問題を修正しました
- チャットルーム一覧にて各々の部屋にいるユーザ数を正しく表示するようになりました
- www.subsys.noのドロップダウンメニューで不自然な再描画が行われなくなりました
- 要素の
style
プロパティを書き換えた後、getAttribute
が更新された値を返すようになりました
- 同じXML要素中に同じ名前空間かつ同じローカル名(補註: local part(ローカル部分)という呼称が一般的)の属性が2つあった場合、XML仕様に基づきパースエラーとして扱うようになりました
- キャッシュの全ファイルをスタートアップ時に読み込むことをやめ、Operaの起動時間を短縮しました
- (補註: 接続が確保できなかったなどの理由によって)保留されているIMAPやPOPコマンドは保存されるようになり、次回起動時に任意実行できるようになりました
getter
やsetter
がネイティブのJSオブジェクトのプロパティへ公開されるようになりました
- ゴミ箱を空にした後のPOPメール取得動作を修正しました
outline
は子要素内のoverflow:hidden
によって切り取っている箇所の「シルエット」を追わなくなりました
legend
が、その前に存在するコメントによってfieldset
の中へ押し込まれる問題を修正しました
- プラグインへ送信されたエンティティが適切にデコードされるようになり、www.vg.noのスライドショーで生じていた問題が修正されました
setTimeout()
が遅延を示す数値の代わりにオブジェクトを受け取った際に生じていた問題を修正しました
- 認証管理のパスワードを消去してもメールのパスワードは保持されるようになりました
- ウィジェットのインストール時に異常終了していた問題を修正しました
- client certificate selectionダイアログへ発端となっているサーバ名が表示されるようになりました
- アイコンがないであろう添付ファイルがメッセージに添付されていた際に表示されなかった問題を修正しました
- opera:historysearchのスタイルをopera:aboutなどといったOpera内部のページと調和のとれるものに変更しました
- 草稿を自動保存していることを画面上で表示するようになりました
- ダウンロードウィンドウやパネルにて、警告無しに既存のファイルへ上書き保存しないようになりました
- maps.google.comへ影響を及ぼしていた、下マージンが増殖する問題を修正しました
- メールや現在見ているページの検索に使われている内部的な検索エンジンへいくつかの最適化を行いました
- レンダリングエンジンへその他多くの修正を行いました
- いくつかの異常終了を引き起こしていた問題やメモリリークを修正しました
- (補註: Ctrl+Shift+TがFirefoxと同様の閉じたタブを開くアクションに置き換えられています)
Windows固有の修正
- ウェブページからスタートバーへツールバーボタンをドラッグした際に異常終了していた問題を修正しました
- スピードダイヤルのサムネイルに時折誤ったページが表示される問題を修正しました
- メニューの楕円がWindows 98では正しく表示されない問題を修正しました
- DDE通信にて生じていた問題を修正しました
- αによる透過値を持ったインタレースPNG画像がWindows Vista上でも正しく表示されるようになりました
- アップロードフォームなどで利用されるファイル選択ダイアログから無意味なフィルタを削除しました
- フルスクリーンモード時にOperaをウィンドウをリサイズできないよう変更しました
- 左Alt+Shiftによって書字方向の切り替えが起こらないようになりました
Unix固有の修正
- Qt4ビルドにおいて、Fileメニューのアイコンサイズが適正になりました
- Flash 9.0 r6*が必要に応じてGTKのメインループを呼ぶことができるようになりました
- ダウンロードウィンドウやパネルからのダウンロード時に既存のファイルの上書きを選択しなかった場合、「filename (N).拡張子」よりスクリプトで扱いやすい「filename_N.拡張子」という名前で保存するようになりました
- デスクトップ環境としてXfceを利用している場合にもGTKのファイル選択ダイアログが利用されるようになりました
Mac固有の修正
- Command-Option-左/右へタブ切り替えのショートカット定義を追加しました
- OX X 10.3で生じていた再描画の問題を修正しました
- (補註: OS X 10.3上でもまともにOpera 9.5を試すことができるようになった、ということになります)
- 矢印キーの
KeyCode
をWindowsとの互換性が高いものへ変更しました
- 要素中の最後の語もしくは文字に対して
text-shadow
とopacity
を同時に適用できなかった問題を修正しました
- 非アクティブなOperaのウィンドウをクリックしてアクティブ化した際、同時にそのクリックが処理されるようになり、たとえばボタンを押すとそれが作動するようになりました
- U+21A9 LEFTWARDS ARROW WITH HOOKの文字が適切に表示されるようになりました(補註: U+21A9とは「?」のこと)
- またDolphin Olympics gameで遊ぶことができます:-)
- 磨かれた金属風のスキンを削除しました
以前既知のバグとして紹介したもののうちこのビルドで修正されたもの
- [BUG 285741] feeds(フィード)メニューを開いている際固まらなくなりました
- [BUG 271585] Save As(名前をつけて保存)やOpen(開く)ダイアログで最後に利用したディレクトリをきちんと思い出すようになりました
既知の問題
既に次のテスト版及びOpera 9.5 Beta 1がリリースされており、以下の情報は古びています。なお、次のテスト版についてはOpera 9.5スナップショット(Build 9600/9603)更新履歴にて、ベータ版についてはOpera 9.5ベータ1にて取り上げています。
前回のビルドでは特に言及されていなかった問題について、訳者による強調を加えています。
- [BUG 264975] メールやチャット画面にてスマイリー画像が表示されない問題が殆ど修正されてはいるものの未だ残っています
- [BUG 290358] Bookmarks(ブックマーク)メニューからブックマークを選択することができません
- (補註: これを期に、Ctrl+Shift+Bなどで開くことのできるブックマークウィンドウやニックネームを活用すると良いでしょう)
- [BUG 290355] パーソナルバーのブックマークをクリックすると異常終了します
- 以前のリリースに含まれていた磨かれた金属風のスキンを利用するとOS X用Operaは起動時に異常終了します
- このビルドはAcid2テストをパスしません
- [BUG 284849] Yahoo! Mail betaやFlickr maps、Google readerで異常終了することがあります
- Windows 95及び98で正常に動作しません
- OS Xのバージョンによってスタートアップ実行状態で固まる場合があります
- POPサーバのメール削除は無効化されており、「Leave messages on server」オプションを無効にしている場合でもメールはサーバから削除されません
- [BUG 287170] OS Xでnative skinを利用している場合、サムネイルUIの背景が黒色になります
- [BUG 184894] スキンにOS XのネイティブなUI要素を利用することができません
- [BUG 280536] OS XにおいてPreferences(設定)を閉じた時に固まることがあります
- [BUG 286384] Yahoo mail に問題が生じます(補註: 経過をHallvordの「Y!Mail: getting somewhere」にて確認できます)
- [BUG 280261] フィルタからのメッセージ削除が正常に動作しません
- [BUG 213115] キューに入ったメールは手動送信時ではなく次回のチェック時に送信されます
- (補註: タスクトレイのアイコンが新着メールの存在を知らせてくれない問題は既知です)
- (補註: スモールスクリーンモードを無効化した後に採用がされない問題は既知です)
- (補註: 新しいメールデータの索引形式の問題によりメッセージ一覧の表示される領域に空行が生じる問題が知られています)
- (補註: Print preview(印刷プレビュー)に画像が表示されない問題は既知です)