Operaのインタフェースに違和感を感じる、との声をしばしば聞く。代表的なものの一つに戻るボタンや進むボタンの位置の話がある。
使っている人は定型的にタブの中のページを戻すからだとか、そのような解答をする。今回はちょっとした昔話を交えつつ、本当に戻るボタンというものを提案してみる。
Ajaxアプリケーションと絡めて戻るボタンが効かない、という話をよく耳にする。しかし、本当に戻るボタンを搭載したタブブラウザなんて存在しないのだ。僕は戻るボタンが二つほしい。
まずはじめに。自分も含めてしばしば間違う例を見受けるのだが、Operaが戻るボタンなどの類をタブの内側に移動したのは決して昔の話ではない。それは、Opera 7.5から。Opera 7.5っていつだよ、と思う人には青くてクールなスキンを止めたバージョンといえば通じるでしょうか。Opera 7.5といえば某L社が窓口になっていた頃だ。せいぜい3年前とかその位。決して歴史的な云々ではない。
最初に僕が触れた複数ページを表示できるブラウザは、Opera 6.05だった。そして似たような時期にFirebird 0.7なども触ってみたりした覚えがある。
これらの戻るボタンは、共にメニューバーのすぐ下に配置されていた。そして、そのブラウザを触り、僕は戻るボタンに悩んだ。戻らないじゃないか、って。
Opera 6のページバー、今で言うタブバーは下にあったため、良くも悪くもボタンと表示領域の関係は今まで使っていたInternet ExplorerやNetscapeに似ていた。だからこそ思ったのかもしれない。同じ動作を期待したのかもしれない。そう、僕はなぜ戻るボタンを押しても前見ていたウィンドウ(タブ)に戻ってくれないんだろう、と思ったのだ。
言うまでもなくそんな動作をするアプリケーションは一般的ではないのだけれど、まぁそう思ってしまったのだから仕方がない。
Ajaxアプリケーションを使っていると戻るボタンを押しても戻ってくれない、という問題が時折話題になる。だけど、ふと手元をみると、既に似たような問題がタブブラウザという代物の中でも生じている。誰も突っ込まないのは、きっと体が慣らされているからなのだろう。
まぁ、タブインタフェースを持ったWebブラウザをありがたがる人の多さを思えば不思議ではない。並べて見ることができないけれどタブをクリックし切り替えて見比べている……といった操作は決して珍しいものではないはず。その程度にしか使われないタブを歓迎しているというのは本当に不思議。一部の人は複数画面を並べられるようにしてしまうのだけれど、そんな人は少ないわけで。
そこで戻るボタンとは別の本当に戻るボタンの登場だ。これを押すと、すべての操作が元に戻る。リンクを用いた遷移も、タブの開閉も、すべてこの本当に戻るボタンを押せば元に戻る。Operaが追加することになったゴミ箱ボタンも消し去ることができる。
これ、端的にはワープロソフトの元に戻す機能といえるかもしれない。これを押せば元に戻るという安心感。そして統一感。
タブより上位に位置する、つまりFirefoxやIEと似たような位置に、本当に戻るボタンがほしい。タブの表示履歴を辿る一般的な戻るボタンは、タブの内側、Operaのそれがあるような位置にほしい。僕は二つの戻るボタンがほしいのだ。
実際にはそううまくはいかない。既に主要なWebブラウザが一つの戻るボタンを有することに慣れ親しんでしまっているため、変更は容易でないのだ。Operaの巻き戻しや早送りさえ混乱させていると主張する人もいるほどなわけで。
蛇足だが、実際にOperaの巻き戻しや早送りボタンで悩んでいる人を僕は見たことがない。それらを謎のボタンとして知覚することはあっても、混同している人に僕は出会ったことがないのだ。居るには居るだろうけれど、僕の狭い世界には、居ない。
そんな環境になってしまった以上、戻るボタンを二つにすることは難しいだろう。そのボタンは戻るボタンに見えなくては意味がないのだから。