Windows VistaのインタフェースAeroの良いところ

少なくとも私の周りではWindows Vistaの評価として、良い話はあまり聞かない。確かに決して軽くないし、機能としてはMac OS XやLinuxで見たような機能ばかりだ。しかしながらVistaのAeroが持つタイトルバーの透過機能はすばらしいと思う。

ある程度コンピュータを理解している人にしてみればウィンドウが重なっているというのは当然のこと。だからこそこの透過機能は余計なものに感じられる。全体が透過されるわけではないから裏側の内容を活用できるわけではなく、役に立たないものだからだろう。

しかし実際のところウィンドウが重なっているという認識のないユーザは存在する。Aeroのタイトルバー透過機能はその部分を理解させる良い実装だろう。透過にすることは少なからず可読性を犠牲にするが、タイトルバーという場所はそもそも表示内容の本質ではない為ソフトウェアを使う上での影響は少ない。それでも起こる可読性の低下についても、裏側の内容をぼかすことによってうまく対処していると思う。これを利用することでウィンドウが重なっているということを容易に理解することができるだろう。

実際にウィンドウが重なっているという事を理解する事が何に役立つのか、と思う人は多いかもしれない。しかしこれが思いの外役に立つ。アクティブウィンドウを理解するのに一役買うのだ。タイトルバーの色が云々と説明してもそんなものは仮想空間で無理に定義したメタファに過ぎず、中々理解してもらえない。でも、前面にあるウィンドウが云々と説明すると案外わかってくれる。……そういう人も多少はいる。もちろん一概にウィンドウの位置関係でアクティブウィンドウを説明できるわけではないのだが。

Vistaから離れると仮想デスクトップの切り替えについて初心者と上級者の感覚の違いを考慮していない記事をちょっと前に見かけた。

2Dデスクトップでも、やたらと半透明なターミナルウィンドウを使ってみたり、仮想デスクトップ切り替えをスムーズなスクロールにしてみたりする文化は、記者が知る限り90年代後半から盛んだった。それはちょうど派手に飾ったスポーツカーを乗り回して、「ほら、見てよ、オレのデスクトップ!」と見せびらかすようなものだと思う。派手なエフェクトと、便利で効果的なエフェクトは、必ずしも一致しない。メールが届いたことを知らせるとき、アイコンが明滅するのではなく、アイコンからデスクトップ全体に波紋が広がるようなインターフェイスは分かりやすく、効果的だろう。しかし、例えばサイコロのように転がる仮想デスクトップの切り替えは、果たして本当に直感的で分かりやすいのかは疑問だ。個人的には、キーを押したら瞬時にデスクトップが切り替わるインターフェイスのほうが、ずっと使いやすいと思っている。

引用部分の前半は全く持ってその通りだ。派手なエフェクトと、便利で効果的なエフェクトは、必ずしも一致しないのは事実だ。Webの話でたとえるのならばlightbox等は派手だが便利で効果的ではない、と思う人もいる。記事で紹介されている中で役に立たないエフェクトはウィンドウ枠から水の波紋が広がったりするエフェクトだろう。これは何も生み出さないように思う。何かユーザビリティに良い影響を及ぼすのであれば教えて欲しい。

しかしこの記事の筆者はサイコロのように転がる仮想デスクトップの切り替えを全面的に否定している。これはVistaの透過機能を単純に否定してしまう上級者の論理だ。私自身が使うのであればおそらく時間の浪費としてすぐに切り替わるよう設定してしまうだろうが、初心者にとってこれはとてもわかりやすいエフェクトといえる。誰しも突然変わってしまうと驚くものだ。サイコロのように転がる映像を見ることでデスクトップ全体が変わるんだなと理解できる。また、既に知っている現実メタファに重ね合わせて、箱状のものに張り付いていると理解することができる。過程を表現することは非常に有意義なのだけれど、上級者になればなるほど切り捨てるというか、考えなくなりがちに感じている。もっと意識してもらいたい。

ちなみにAero自体は何でも透過にすれば良いという印象も受けてしまい、あまり好きではない。でも、タイトルバーの透過は良いと思う。あ、明らかに利用頻度の高い閉じるボタンが大きく目立つようになったのも良いですね。まぁ実際のところAeroがまともに動くスペックのコンピュータが普及するよりMacユーザが増える方がお財布にも優しいのですが。

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公開日時
2007年2月7日 午前0時00分52秒
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