Webアプリケーションだけに頼るな

以前ウェブアプリケーション独立への期待というエントリーを書いた。このエントリーを書いた時点で僕はAdobeのApollo(現在のAir)について勘違いしていた。そのため、内容のすべてが妥当だとは思わない。だが、その根底に有る思想は未だに変わらない。Webアプリケーションだけを使っている人は時間を浪費している。

一つもWebアプリケーションを使っていない人は、徐々に減りつつあると思う。メール、スケジュール管理、タスク管理、ブックマーク。他にも便利なWebアプリケーションは多数存在する。

これらから得られる恩恵は様々あるだろうが、その中でも特に大きな理由は次の二つだろう。

だが、これらの恩恵を受けるためだからといってWebアプリケーションのみを使う必要はない。Webアプリケーションにも利点があるように、クライアントサイドで動作するアプリケーションにも利点がある。それは効率だ。Webアプリケーションだけを使用する生活は前述の利点もあり、決して悪くない。有る程度の効率化は見込めるだろう。しかし現時点ではそれが最適にはなり得ない。

昨今のWebブラウザはJavaScript実行速度に飛躍的向上がみられ、Webアプリケーションも十分高速に動作すると、そう思うかもしれない。しかし効率は実行速度だけで測れない。専用に作成されたアプリケーションでは、一切の無駄を排除することができるのだ。無駄なHTTP通信は行われない。そして何より、操作体系が最適化されている。Webブラウザによるしがらみが一切無い。後者の話については具体例とともにウェブアプリケーション独立への期待で述べたとおりだ。

別の角度からも見てみよう。Web 2.0なる言葉が最近よく聞かれるようになったが、ある人によればWeb 3.0はSemantic Web、Web 4.0はWeb OSらしい。現時点でのWebアプリケーションは、Web 4.0の世界からごく一部を切り出したに過ぎない。現時点でWeb OSを使わない理由と、Webアプリケーションだけを使うべきでない理由は基本的に同じである。

貴重な時間を無駄にしないためには、クライアントサイドアプリケーションも適材適所活用せねばならない。決してWebアプリケーションを使うなとは言っていない。連携するツールを使うのだ。長い時間使う決まった端末があるのであれば、その端末ではクライアントサイドアプリケーションを活用する。Webアプリケーションを開きっぱなしにするもしくは新たに開くコストと、クライアントサイドアプリケーションで同じことを実現するコストに果たして差があるだろうか。コストに差がないのであれば、より最適化されたツールを使うべきではないだろうか。

Webアプリケーションだけ有れば最高。いつでも必要なのはWebブラウザだけ。……そう考えている人は今一度思い直して欲しい。まだ早い。

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公開日時
2008年11月29日 午後9時40分14秒
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