敵を知る

比較するためには双方を知らねばならない。しかし、双方を十分に知るという事は非常に難しい。初心者と呼ばれるような、初期状態で使いやすく配置された機能だけを評価するのであればまだ可能性はあるが、カスタマイズが前提となると、複数の対象物それぞれについて十分な知識を持つのは非常に難しい。無理なのではないだろうか、とまで思わせる。

ソフトウェアの話に限定して考える。仮に2つのソフトについて十分な知識を持ちうるタイミングがあるとしたら乗り換えが前提である時だけだと思っている。乗り換えることが前提となっているのであればカスタマイズに労を惜しむことはない。単に試してみるという心構えでは元の環境の方が良いと結論づけられてしまう可能性が高い。模索せずとも既に理想としていた環境が存在しているのだから。

もっと具体化して、OperaとFirefoxの話にしてみる。OperaもFirefoxも主要な3つのOSで利用可能なWebブラウザだが、その方向性は対極に位置している。

Operaは基本的に全部入りであり、その機能が拡張されることは若干の例外はあるものの無いと言える。しかしOperaの持つ全ての機能をユーザが見つけられるかと言えば、そうではない。しばらく使わないと気づけない機能も少なからず存在する。最近話題にした拡大率表示の話が良い例だ。

Firefoxの場合、多くの機能は拡張機能という形で提供される。標準の機能はお世辞にも多いとは言えない。ユーザは拡張機能を導入することで機能を自由に拡張して行くことができる。しかし、肝心要の拡張機能そのものを発見できない場合が少なくない。

機能に限らず使い込まねば分からない点は多く存在する。Operaの機能もFirefoxの拡張機能も見つけることができない可能性がある。利用時間が短ければ短いだけその可能性は高まる。複数の対象について使い込まねば分からない部分まで把握することができるだろうか。もちろんある程度は可能だろうが、完璧には無理だ。対象を1つに絞っても十分難しいというのに。

自分だけでは力が足りない。こういう時にこそWebが力を発揮するのではないだろうか。OperaユーザはFirefoxの情報をいくらでもWebで収集できる。逆もできる。もちろん自分の使っていない物について多少の知識を有しておくことは必要だろうが、他のコアユーザの声を収集する方が手っ取り早く確実だ。さらに確実性を高めたいのであれば情報を収集した後でその情報を自分の手元で再現すればいい。ただそれだけ。

もし何かを比較したいのであれば、自分の使わない物についてこそWebを使って積極的に情報を収集すべきだ、と思う。ほんの少し触れたところであまり効果はない。……まぁ詭弁なんだけど。

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公開日時
2006年11月18日 午後8時51分30秒
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