ATOKを使っていてまだ推測候補モードを試していない人は一度試した方がよい。日本語キーボードをお使いならばCtrl+変換を押すことで有効と無効を簡単に切り替えることができる。
性に合う合わないはあるかもしれないが、これはかなり便利な機能だと思う。さっくり調べたところATOK2006からの新機能らしい。私はATOK17から今回アップデートした口なので今回がこの推測候補モードとの初めての出会いということになったようだ。
簡単に言えば省入力候補と推測変換機能のいいとこ取りである。
省入力候補とはTabを押すことで入力頻度の高い語を全て入力することなく選択、確定することができる機能だ。この機能は便利だが、Tabキーを押してみるまで選択肢に挙がるか分からないという難点がある。そのため積極的に利用することは難しかった。
推測変換機能とは時々文字列を入力しているとポップアップして入力候補を提示してくれる機能だ。推測変換候補が現れればShift+Enterでいきなり確定することができて非常に便利だが、推測変換機能は常に使えるわけではない。設定によって出現頻度を上げることもできるが、設定を弄るのは面倒なためうっとうしく感じることも多々ある。
推測候補モードは携帯電話の推測変換を想像するとわかりやすい。入力文字列の下に幾つか推測候補が現れ、それを方向キーで選択、確定できるという機能だ。推測候補と省入力候補が同じというのがポイントだ。そのため推測候補モードを省入力候補の可視化の為に使うことができる。もうTabを押さないと何が出てくるか分からない、と悩む必要はないのだ。
私はATOKのキーバインドを若干変更している。理由は簡単、HHKB Proに方向キーがないからだ。具体的には方向キーやHome、Endに割り当てられている機能を全てEmacsライクなキーにも割り当てている。これだけでも概ねホームポジションから指を動かすことなく変換することができるようになるはずだ。大半のキーボードは方向キーが実に押しにくい位置にあるため、このキーカスタマイズはある程度の効果をもたらすかもしれない。(実際にはもっと弄っていますが、まぁそのあたりは割愛します。)
慎重な人は一つの事実に気づくだろう。推測候補モードのキーバインドは変更できない。推測候補モードは上下キーで操作するしかないのだ。
しかしあわてることはない。推測候補と省入力候補は同じだ、ということを思い出して欲しい。推測候補の内容はTabキーを押せば同じように入力できるのだ。
こうすることは操作に一貫性を持たせることにもつながる。ATOK標準のキーバインドを愛用する人にとって下キーは確定だ。そのキーが推測候補モードに奪われてしまうため、なくなく推測候補モード時はEnterキーを押して確定する事態に陥っていた。
だが、私のような設定を行っていればCtrl+nは常に確定だ。悩むことはない。どうしても推測候補の内容を選択したいときは方向キーを利用するという選択肢はもちろん残されたままだ。
もっともEmacsに慣れ親しんでいるというのがこの設定を行う大前提だ。多くの人に受け入れられるものではないだろう。