昨今のウェブブラウザはアドレスバーの隣にある検索欄で簡単に検索できるようになっている。そして、Safariの検索欄は可変幅なので使い勝手がよい、と言われている。
本当かい、それ。
幅を変える主な理由は幅が足りないからであり、多くの人は検索欄を大きくしている。少なくとも私の周りで検索欄を使うような人は概ねそういう願望があるように見受けられる。だったら元々大きいアドレスバーがあるじゃない、というのが個人的な感覚だ。
元々アドレス入力専用だったがゆえに検索欄が別に設けられてしまったが、移動先の指定という括りで見れば同じインタフェースであっても決しておかしくないはずなのだ。実際にこれを実現するツールとしてJWordがあるが、初心者受けは非常によい。もちろんこれはIE 6に検索欄が無く、サイドバーという邪魔な代替手段以外用意されていない、という理由もあるだろう。しかし、違和感無く受け入れられることは既に実証されていると言って良いのではないだろうか。
ユーザはアドレスバーも検索欄も両方大きくしたいのである。それを使っている時に、入力している文字を一覧したいのだ。だったら両方兼ねてしまえばいい。違和感はないのだから。
だが、アドレスバーで検索できるという機能はあまり表に出てこない。多くのブラウザは既にその機能を持っているが、検索欄も持っているのだ。その理由は主に2つある。
最大の理由はアドレスバーが検索語の入力をあまりアフォードしないことだろう。既にアドレスが表示されている領域に全く異なるように思われる検索語を入力しよう、とはあまり思い立たない。検索語を入力させるために、検索エンジンのアイコンや名前を提示し、やっと気づいてもらえるのだ。
もう一つの理由は検索エンジンの選択が出来ないことだろう。検索語の前に魔法の文字を入力すれば選択できるが、そんなインタフェースは難しすぎる。少なくとも私の周りの検索欄ユーザは、Enterを押して検索するようなことはしない。毎回プルダウンメニューを開いて好きな検索エンジンを選択する。こういう使い方をする人が僕の周りにだけ集まっているとは思わない。大多数のいわゆる初心者はこういった操作をするのだろうと思う。検索欄の利点は検索エンジンの選択が出来ることと思われているのだろう。
既存ウェブブラウザのアドレスバーに付いているプルダウンメニューに表示されるのは、URLの補完候補や、せいぜい標準で利用している検索エンジンで検索するという項目くらいだ。これでは検索欄の代替にはなり得ない。
これを満たすインタフェースには、例えば移動ボタンの隣に検索ボタンとプルダウンメニューを並べる、などがある。もっと端的な解決策も提示できる。ユーザはリサイザが欲しいのではない。使っている領域に入力している内容を一覧したいのだ。更に言ってしまえば、平常時は可能な限り広い領域をアドレスバーに割くべきだ。……だったら答えは簡単。検索欄をフォーカスしたときに、検索欄を大きくすればよい。入力するときだけ違和感なく自然に大きくすればいいのだ。何も手作業で常時大きくする必要はない。
もっとも、そのくらいは考えて作られているのだろう。おそらくユーザテストあたりで芳しくない結果を得たのだろうとは思う。だが、リサイザが付いたと喜ぶ姿を見ると何とも釈然としない気持ちになるのである。そのリサイザが本当に嬉しいのか、理想的な解決策だと言えるのか、そう問いたくなる。