XHTML + CSS (r)evolution vol.3の骨子益子さん主催のXHTML + CSS (r)evolution vol.3と云うイベントに足を伸ばしてきました。題目はHTML 5 の概要、との事。取り急ぎ骨子を紹介いたします。なるべく実際の表現を尊重してメモをとるよう心掛けましたが、誤りを含む可能性があります。
私見を述べるのは、またの機会にでも。関連エントリーとしてXHTML+CSS (r)evolution, 3rdの内容は信ずるに値するか? を公開しました。私なりの結論を述べるとこのイベントの内容は信じるに値しないと考えます。
なお、このエントリーを読む方には途中で止めず 、対談後半のW3C の主張 もきちんと読むこと を強く推奨 します。この部分については公開された音声を文字起こしし、書き改めました。十分正確な情報を得ることができるようになったと思います。
益子さんのプレゼン
HTML 5 のきっかけはtbl
revise ではなくreconstract
最初のドラフトは今年の7月の予定
2010年に勧告の予定
(今と)3年後で状況が変わっていて(完成したときにHTML 5 は)使えるのでしょうか
新しいHTML (5)のニーズがないのではないかと思っています
(これは)1つの独立した仕様をつくるというもの
XML ベースの仕様だけでなく従来の非XML も
DOM やUI の内容も盛り込む
W3C の方も居ますが本音トークで行かせていただきます
W3C から4名の方が来られていた
validator のメンテナンス担当のオリビエさん
QA (品質保証)担当で最近はHTML WG のコンタクト(平たく言えば雑用らしい)を担当しているカールさん
モバイルイニシアチブのマイクさん
広報担当の平川さん
HTML 5 の仕様は結構頻繁に更新されているようです
昔はWeb Application 1.0という名前で通称がHTML 5 でした
通称だったHTML 5 がタイトルになった
そっちの名前が有名になったから(名前を変更した)?
コピーライトが増えた
(並ぶ社名から)ブラウザベンダーが支えているといえる
GoogleのIanと元W3C の石川さん、平川さんとで話す機会があった
IanはGoogleの代表としてではなく個人としての意見をHTML WG へ投じている
HTML 5 はWHATWG が作っている
HTML 4 、XHTML 1 、DOM 2 API 、Web Forms 2などの新仕様に当たる
アプリケーションとしてHTML を捉えている
XHTML 2 には非文書型コンテンツのための要素が足りない(という考えがHTML 5 の根底にはある)
UI 言語からは独立した存在
例えば……(と、追加予定の要素型名を紹介していた)
XHTML 2 と共通のsection
要素を追加
ナビゲーションを示すnav
要素
すでに実装されている例
canvas
はFirefox 1.5やSafariで実装されている
video
はOpera 9.2に実装されている
メモをとった人間による補足 。video
が実装されたのはOpera 9.5のテクノロジープレビュー版(HaavardのTry Opera with native Theora video support を参照)です(ただしバージョン表記には9.2とあるためこれは一応 Opera 9.2であると言えなくはない。しかしOpera 9.2正式版には搭載されていない点やOpera 9.5を類推させるファイル名である点からOpera 9.2に将来的な実装へ向けた機能の一部を仮に組み込んだバージョンと捉えるのが妥当でしょう。少なくともこれをOpera 9.2と呼ぶのは間違っていますし、いわゆるベータ版でもありません。 )。また公式にOpera 9.5でvideoをサポートするという発表も私は聞いたことがありません。テクノロジープレビュー版で実装が行われた事実 がある、と捉えるべきでしょう。
canvas
でぐりぐり3D描画できる
HTML WG はWHATWG と協調している
Ian曰く温度差はある
Ianも2010年(に勧告)と云うのは現実的でないと述べている
(仕様が定義されることより)浸透することが重要でそれには時間がかかる
以下(益子さんの)まったくの私見ですが、
ブラウザベンダはXHTML に不満があるのではないか
tbl の焦りではないか
自分が作ってきたHTML を他の人に触らせたくないのではないか
W3C の中でやって欲しいのではないか
(HTML 5 の仕様が)実現した時に存在理由はあるのでしょうか
Ianや石川さんがこの流れはHTML 3 の時に似ていると言っていた
HTML 3 は幻の仕様
結局HTML 3.2 が勧告された
神崎さんも枯れた技術をいじる事はないと言っていた
XML の世界ではXHTML やRSS、Atomは全て単なる語彙
今後の(X)HTML は言語体系と言うよりXML アプリとの複合文書と考えるべき
id
/class
志向
要素/属性志向
HTML 5 は本当に必要なのか
トークセッション
益子さん、中村さん、植木さんのディスカッション。トークセッションの書き取りはメモは割と手抜きなため、あまり信じない方がいい。参考程度に。
印象
益子さん
HTML 5 の印象は?
植木さん
まだドキュメントをきちんと読めていない(ので何ともいえない)
(今回を受けての)正直な印象としては右から左へ受け流すのがいいのかな
中村さん
一通りドキュメントには目を通していた
まだ読み切れてはいない
使用書に出てくる語をクラス名として活用することはできると思う
勧告されていないので使うかどうかはわからない
益子さん
Googleがclass
やid
の一覧を公開している
同じ感じで使えそう
再開発は要りますかね?
中村さん
XHTML に慣れちゃったからね
益子さん
もう結論が出てしまいましたね
簡単なHTML
益子さん
リスト3つも要らなくない?(listを示す要素を一つ作ってあとはクラスでやればいいという意見)
中村さん
HTML は簡単だから普及したと思う
(HTML 5 のように)複雑になったらその利点はなくなると思う
(益子さんと)昔(要素を)減らせばよいと話した
益子さん
(その方が)逆転の発想でいい
中村さん
role
属性で補った方が書きやすいのでは(ないかと思う)
益子さん
基本がシンプルなほど拡張性は高くなりますよね
アクセシビリティとHTML
益子さん
植木さん何かありますか
植木さん
アクセシビリティの(観点)から言うとXHTML 5 でもよい
日付を5/31
と書くと分数として読み上げるのが一例
このように(機械で処理できない)曖昧な情報をマークアップできるようにせねばならない
(その方法は)class
でもid
でも要素でも属性でも何でもいい
(仕事で)ツールを作ることがあるが実際(これらを判別するのは)難しい
益子さん
人間の判断が要りますよね
植木さん
HPR はその後分数読みをやめたら今度は逆の苦情がくるようになった
bA の小久保さんがWebは唯一ユニバーサルデザインを実現できるメディアだ と言っていたがそれをうまくキャッチするものが必要
益子さん
W3C にDatetime
フォーマットがあるけれど日本なら日本らしい表現(5月31日
など)がありますからね
植木さん
今WG がありますが(こういった)言語ごとの対応をきちんとしてほしいですね
W3C とHTML 5
公開された音声データを元にこの話題に関してのみテキスト起こしを行い、初稿の内容と差し替えました。
益子さん
W3C の平川さんせっかくきてるんで、聞きたかったのが、HTML の再開発、W3C のスタッフとして、乗り気なのかどうか。
会場
(失笑)
益子さん
いや、実は重要なんですよね、やっぱり。
平川さん (W3C )
カールさん……
カール (HTML WG )
(日本語は難しい、と前置きして英語で話し始めた)
平川さん
W3C のスタッフとして、我々はやらなければいけないことは、Webに関わっている人たちの意見やコミュニティの意見や、ベンダーとかが関わっているマーケットとして、市場としてのWeb空間のニーズに応えることが我々の目的であると。という意味で我々は是非これは進めていきたい。そのかわり決定をするのはコミュニティでありマーケットであるので我々が何か方向性を形づけることはないし、むしろそういういろんな人たちの意見が集約されたところに答えが出てくる、ということ。
一応彼の自己紹介を入れますと、彼は……自分でやりますか?
カール
(英語で自己紹介し、その後に意見を語り始めた)
平川さん
HTML 4 の前の状況ではそのベンダーないしブラウザベンダーさんが実際に実装したものが仕様というか技術……
益子さん
そうですね、HTML 4 までは そうでしたね、4まではブラウザベンダーの独自拡張を仕様に、こうまとめてるっていうのが一つの仕様の作業でしたけども、そっからW3C がじゃあうちの仕様を逆にブラウザベンダーが準拠してねという方向に変わった、と。
平川さん
で、単に要素がどれかっていうのもそうですし、各要素の解釈の仕方。表示の仕方もそうですし、pってなんだろう、pタグってなんだろうっていう、そのセマンティクスの部分も今までは実装してた人たちが勝手に決めていたと。でもこれからはWGなりそのコミュニティの中できちっと議論をして、その部分をちゃんと詰めてゆきましょう。それがre-invent の意味なのではなのかなぁ、と。
で、この議論の最後、かどうかわからないんですけども、一応付け足しておきますと、新しく始まったHTML のWG は、一般の人も参加できるようなグループとして立ち上げられました、ですのでここにいる皆さんが個人としてW3C のWG に参加して、意見を、大企業の一意見と同じように発言することができるように、なりました。日本からも個人という形で、いまちょっと人数はわからないんですけども、2桁にいくくらいは入ってるんじゃないかなと思うんですけども……
益子さん
あー
平川さん
世界中からは400とか……
益子さん
HTML WG だけで?
平川さん
(HTML の)WG 1つに400とか450ぐらいの人たちが参加して居るんですけども、世界中からですね。ということで、ここにおられる皆さんの意見を、HTML を再開発したいと思う人もいればしたくないと思う人もいると思います。だからその1つの意見を伝えていくこと、標準のプロセスに乗せていくことっていうことが一番重要なことじゃないかなと思うんですね。是非皆様にご参加いただきたいと思います。あの、英語での議論になるのでちょっと大変なところもあると思うんですけれども、日本語に長けた、じゃなくて英語に長けた日本人の方もグループに参加されてますので、そういった人たちとある程度協調しながら参加されることもおもしろいのではないかなと思います。是非ご検討いただきたいと思います。
HTML 5 と現実
益子さん
エンドユーザとして(HTML 5 の)影響は大きい
ブラウザがサポートしなかったら(新しい仕様は)使われないけど
中村さん
古いもの(既存のHTML )も使える(ので)便利なら(HTML 5 も)使おうかなと(思っている)
益子さん
DOM は(どうですか)?
中村さん
あまり変わらない
むしろ早くブラウザがDOM を(きちんと)実装してほしい
念のため
このエントリーは単なるメモの書き起こしであり、Operaの件の補足一点をのぞき私見を一切挟んでいない……つもりです。もし実際の資料との相違がありましたらそれは私の本意ではありませんので本来の資料をご参照ください。話によれば実際に用いた資料を昼頃までにはアップしていただけるとのことです。
私見を述べ始めるとまぁ長くなりそうな感じですね。誰かが書いてくれることに期待しつつ私は床につきます。お休みなさい。